ハンツマン特集

ハンツマンはアシダカグモの仲間で、温暖な地域を中心に棲息しています。

今回はハンツマンと呼ばれる脚の長いクモたちをご紹介いたします。

マレーシアングリーンハンツマン Heteropoda boiei

マレー半島、ボルネオ島の低地などで散見される大型のハンツマン。


オスは名前の通り美しいグリーンです。

また幼体はコケや地衣類の生えた緑の樹皮に擬態しています。

隠蔽のクオリティは中々のもので、撮影中に一瞬見失うことも良くあります。


マレーシアンオレンジハンツマン Heteropoda davidbowie

名の通りオレンジ色のハンツマン。

有名なキャメロンハイランドなどマレーシアを中心に棲息しています。

国内でも繁殖例が比較的知られているハンツマンです。


この強烈な色彩は、自然下では目立ってしまい、鳥などに捕食されてしまいそうですが、

私が現地で数度にわたり観察した際は枯葉の上におり、体色は隠蔽型擬態となっている可能性があります。

どこに隠れているかわかりますでしょうか? 

マレーシアンパープルハンツマン Heteropoda lunula



本種のオスと思われる個体です。

成長過程で写真の様に紫色に輝く時期があるため名付けられたそうです。


本種は上記種類よりも珍しいらしく

峠道でなぜかアスファルトの上にいた1個体を除いて、森の中でもみたことがありません。

日本での流通量も少ないといえます。


ラスティレッドハンツマン Rhitymna pinangensis

写真個体はオスです。名前の通り錆びた赤色が美しいハンツマンです。

対してメスは渋いカラーリング。

彼らは約100年間、別種と考えられていました。


Rhitymna pinangensis は1891年にオスのみが記載、

メスはRhitymna ingens として記載されてしまいました。

その後、2003年に本属の再検討がなされ、現地での交接が観察されたこともあり

2011年になるとJäger & Koh 両氏がRhitymna ingensをシノニムとしました。

性的二型があるというのもハンツマンの面白さの1つかもしれません。




ブラックアンドゴールドハンツマン Thelcticopis sp.

これもまた派手な容姿です。

カマスグモの仲間もハンツマンとしてよばれることの多いクモです。


上記のクモはマレーシアのキャメロンハイランドなどで観察することが出来ます。

1つの山だけでこれだけの多様性があるというのもハンツマンの面白さです。


Gnathopalystes sp.

昨年話題になった美しいハンツマンです。

原産国の中国では密毛颚突蛛などと呼ばれています。

構造色の様に角度を変えると微妙に色彩も変化します。



ガーナクラブハンツマン Barylestis scutatus

アジアのみならず、アフリカにもハンツマンが棲息しています。

力強い印象のハンツマンです。


ハンツマンはタランチュラと異なり、書肺が1対で、代わりに気管系を発達させることで

陸上での酸素吸収効率を高め、俊敏な動きと持続性を獲得しました。

また、メスにも最終脱皮があり、交接した後は脱皮しないため精子を失うことがありません。


タランチュラと比べると進化の進んだクモで、性質も体型も全く異なっているため

飼育していると新しい発見があり、大変面白いものです。


最後に、現地で彼らがどのような環境にいるのかギャラリーを用意しました。

美しいハンツマンの世界をお楽しみください。


Heteropoda sp. Malaysia



Hersilia sp. 香港 トゥーテイルドスパイダー(ここではハンツマンとして紹介しています。)


Hersilia sp. 台北 トゥーテイルドスパイダー

Pandercetes sp. Thailand




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