ムカデ種類別4つの飼育環境
便宜的に低地系、高地系、渓流系、乾燥系の4つに分けて飼育しています。
26℃を基本の温度として、23℃~29℃が概ね飼育に適した温度になります。
湿度は比較的高いほうが好ましいため、50%以上を狙います。
乾季のある地域出身のムカデでは乾燥に強い場合もありますが、
基本的には飲み水等をしっかり与える事が重要です。
高地系ではマレーシアンジュエルが最も有名でしょうか。
彼らは標高1000m~1800mと非常に冷涼な地域に棲んでおり
特に夜間は10℃台前半になるほど冷え込みます。
昼間の暑さと夜の冷え込みの両立が必要になる、やや飼育難度の高い種類です。
私見ですが、彼らは深夜より夜明け前に活動する印象があります。
昼間は日射により気温が上がりますので、
消化する際に最適な温度となるよう逆算して活動しているのではないでしょうか。
Terminal Legs では環境再現のため
夜間温度を下げ、加湿器の出力を増すようにしております。
お客様や他飼育者様からお話を伺うと、実際にはここまでする必要はなさそうですが
そのおかげか長期飼育できているのもまた事実です。
渓流系で最も有名なのはヤンバルオオムカデでしょう。
特に幼体の頃は水への依存度が非常に高く、潜る、泳ぐなどの行動が知られています。
また各国でS.cataracta(2016)、S.paradoxa(2018)など泳ぐムカデの存在が明らかになっています。
実際に手にしたことはありませんが、台湾にもこのような性質のムカデが報告されていたり
マレーシアンブラックテールも泳ぎが巧みであるという情報が入ってきております。
これからの注目度が高いグループであることは間違いありません。
私も飼育情報がまだまだ不足しておりますが、引き続き情報収集に努めてまいります。
乾燥系はムカデの中でも例外的に乾燥地帯に進出したものです。
エジプシャンジュエリーセンチピードや、Scolopendra heros arizonensis などが該当します。
エジプシャンは地中海付近に生息しておりますから
教科書通りに乾燥した地域かと思われます。
彼らはビショビショに濡れた環境を好まず、
極端に言えば乾いていなければ死ぬという特殊な部類です。
飲み水は念のために置くものの、砂漠や乾燥地帯のイメージを念頭に飼育が必要になってきます。
このようにムカデと一口に言っても、あまりにも多岐に渡るため、
新しくムカデを飼う際は、どの地域で、どのような習性を持っているか調べる必要がございます。
特に、熱帯で典型的な暑い国のムカデだと思っていた種が高地系だった場合は目も当てられません。
赤道付近に位置しておきながら、山脈により雪の降り積もる地域すら存在しますから
国だけでなく、地域まで一歩踏み出した確認をすると、より適切な飼育が出来ると思います。
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