安く虫を買うと乱獲に繋がる?
販売者としてタブーともいえるこの内容ですが
過度な乱獲により、採集、販売なども全面禁止になると悲しいですのでまとめます。
同業者にも役立つ面はあるので、敵に塩を送る感は否めないのですが
業界の発展を切実に願いますので、あえて書き置きます。
販売価格と販売数量の関係
よく見かけるムカデとしてトビズムカデを想定してみてみましょう。
ここでは計算しやすく条件を以下にします。
・通常1匹1000円で売れる
・仕入れ値500円+管理費用200円=700円
・1匹で300円の儲け
仕入れ値は採集に行く手間や、購入してかかるお金
管理費用はムカデのエサ代や冷暖房、場所代金とします。
1000円で売って、仕入れ値と管理費が700円かかるので
1000-700=300円
普通に売ると→1回300円の儲けが出る計算です。
薄利多売戦略
薄利多売、この言葉を聞いたことがあるでしょうか。
儲けは少ないけど沢山売ることで利益を出す方法です。
「よーし、1000円ではライバル店に勝てないから20%引きして800円で売るぞ」
と考える店があってもおかしくありませんよね。
800円で売って、仕入れ値と管理費が700円かかるので
800-700=100円
薄利多売戦略では→1回100円の儲けが出る計算です。
あれ、20%オフしたら儲けが100円に。
当初は300円の儲けが出ていたので同額を稼ぐには3倍売る必要がありませんか??
20%オフすると、もちろん買う人は増えるでしょう。
しかし3倍も売ると単純に3倍物量が増えて忙しくなりますので
お客様への対応や、ムカデの世話の時間を確保するのが難しくなります。
厚利少売戦略
先に申し上げると、Terminal Legs は相場より高価に設定しています。
その理由をご説明していきます。
「よーし、きれいに写真を撮って、雌雄判別など付加価値をつけて30%増しで行くぞ」
と薄利多売の反対=厚利少売に考える店もあります。
ここでは計算の都合上、1300円で売ることにします。
1300円で売って、仕入れ値と管理費が700円かかるので
1300-700=600円
→1回600円の儲けが出る計算です。
当初は300円の儲けがある計算でした。
この戦略では販売数は半分で大丈夫です。
さらに薄利多売戦略と比べると、1/6倍の数量で良いのです。
高価になればなるほど、お買い上げいただけるお客様は少なくなってしまいます。
しかし、販売数が少ないという事はその分時間があるため
一人一人のお客様に時間をかけて接客することが出来たり、
ムカデについて様々な調べ物をする時間が出来ます。
そして何より、薄利多売戦略をとっている人に比べて、1/6の環境負荷で済むのです。
まとめ
販売価格が少し変わるだけで、採集量は6倍も増減します。
私も店を始めるより長く消費者として虫を買ってきました。
「1円でも安く買いたい」と考えるのはとても自然です。
しかし、その価格競争はとても危険な道へ進んでいることを忘れてはなりません。
生き物の魅力発信に努め、価値を高めていくことがTerminal Legsの使命だと考えています。
同業者の方でも売れないときに安易な値下げに踏み切っている例が見られますが
これは悪手だと思いませんか?
20%オフにしただけでお客様が3倍に増えるというのは、
肌体験からしてもあり得ないことかと思います。
つまり、他店と比べ忙しいうえに儲かっていない可能性が高いです。
忙しい分サービスの質が落ちている可能性もあります。
せめて通常の販売戦略で行った方が、環境負荷も低く、ビジネスとしても長く続けていけると思います。
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