ガラパゴスジャイアントについて。

昨年夏、ペルビアンホワイトレッグが何者なのか考察するブログを掲載しました。

Neotype designation and a diagnostic account for the centipede, Scolopendra gigantea L. 1758, with an account of S. galapagoensis Bollman 1889 (Chilopoda Scolopendromorpha Scolopendridae)

上記論文を読みながら、Scolopendra giganteaScolopendra galapagoensis

触角の疎毛触角節数と腿節の棘の違いがカギと書かれています。

(ここでは便宜上、密に細かな毛の生えた触角節を「密毛触角節」、

まばらに毛の生えた触角節を「疎毛触角節」と呼ぶことにします。)


ちょうど中間の触角節の写真です。

下部は密度の高い毛でおおわれる密毛、上部はまばらに毛が生えているため疎毛です。


そこで改めて、今回入手したガラパゴスジャイアントを見てみると……。

先端側の密毛触角節数が1,2,3,……11節-11.5節あるように見えます。

赤い部分が細かな毛におおわれているのが、写真から伝わりますでしょうか。


そして、根本側の疎毛触角節数5節-5.5節あります。


Scolopendra gigantea の疎毛触角節数は8-10節程度

Scolopendra galapagoensis の疎毛触角節数は4-7節程度とされています。


ペルーにはScolopendra galapagoensis が分布することで知られていますので

Scolpendra galapagoensis の可能性を残しています。


触角だけでムカデを語るのはあまりに性急です。

他の部分を観察して参りましょう。

歯板の形状は類似しています。



曳航肢は片方が再生肢のため、参考程度ですが。


当たらずとも遠からずといったところでしょうか。

曳航肢は変異に富むため、あまり参考にはなりませんが……。



第20歩肢の蹴爪状突起も確認できます。



最後に、第1歩肢の腿節に蹴爪が確認できます。

そして、第2歩肢以降にはありません。ここもScolopendra galapagoensis と合致しています。



最終的に産地情報とカギである疎毛触角節数、

第一歩肢の腿節のみにある蹴爪と全てが符合しました。


本種は Scolopendra galapagoensis といって問題なさそうです。


このムカデは30cmクラスの化け物になることは周知のとおりです。

まだまだ南米には巨大ムカデが人知れず棲息していると思うとぞくぞくします。

アジア産ムカデについては、書籍も出しております。
どこを観察するべきなのか、
南米と共通部分も多いため、
きっと指南書としてお役に立つと思います。
是非、ご購入ください。

既にお持ちの方は、宣伝にご協力頂けると
大変ありがたいです。

本の売上はムカデの研究費等に充てております。
ご支援を頂けますと幸いです。

こちらで販売も行っています。



参照:

R. M. Shelley&S. B. Kiser(2000)

Neotype designation and a diagnostic account for the centipede, Scolopendra gigantea L. 1758, with an account of S. galapagoensis Bollman 1889 (Chilopoda Scolopendromorpha Scolopendridae)

Tropical Zoology,13:1, 159-170


ガラパゴスオオムカデ




本記事は2021年3月27日に大幅に加筆修正を行いました。

混乱を招いたことを深くお詫び申し上げます。


0コメント

  • 1000 / 1000