Terminal_Legs奇蟲写真2020行動写真部門

総評


Terminal_Legs奇蟲写真2020行動写真部門にご応募頂き、誠にありがとうございました。

捕食など迫力のあるシーン、産卵、交接などの神秘的な瞬間

運搬、化粧行動など、その種特有なものまで、様々な投稿がありました。


前回優勝がムカデであったためでしょうか、ややムカデに偏っている印象でしたが

その切り取り方や捉え方は様々で、多様性が見られる結果になったと思います。


順位をつけるのは毎度難しいのですが、コンテストですので心を鬼にして選んでいます。

それでは、今回の結果を発表いたします。


金賞

『下剋上』 2019年10月26日 沖縄県 オオムカデ Scolopendra subspinipes

よくトビズムカデと混同される。ハブムカデなどと呼ばれることもあるが、オオムカデが正式名称であり、未記載種を除けば日本最大のムカデ。

野外でネズミを捕食しているところを撮影しました。オオムカデの獰猛さを表現できている写真だと思います。

-たかつき


Terminal Legs コメント

今回の作品中、最も力強さを感じた作品です。

実のところ、まだ私はムカデが哺乳類を捕食している姿を観察したことがなく

非常に貴重な瞬間でもあると思います。

下剋上というタイトル通り、より体重の重いと思われる脊椎動物まで襲ってしまう

一般的な虫という概念を超えていくような存在感には驚かされました。


銀賞

『優しい檻』2019年7月25日 青森県自宅 トビズムカデ Scolopendra mutilans

東京都にて採集したトビズムカデが産卵し、孵化した幼体を保護している。

幼体を保護する無数の脚を檻に例えました。

-Sねり


Terminal Legs コメント

抱卵から幼体が独り立ちするまで、母ムカデは多くの時間と労力をかけて子供たちを守っていきます。

これはその様子を写し取られた作品です。

実はムカデの飼育下での抱卵、育成写真は今回多くの応募がありました。

その中でもテーマ、タイトルの切り取り方が面白く、

また人工物などの映り込みがないため、

シンプルに被写体に集中できるため本作を受賞という形にさせて頂きました。


『捕食』 2019年10月20日 埼玉県 ムサシアカムカデ Scolopocryptops musashiensis

平地から山地まで広く分布している。セスジアカムカデに似るが曳航肢の密毛の分布が異なる。

倒木を裏返すとまさにアカムカデの仲間がコガネムシ科の幼虫を捕らえたところだった。倒木が動いたことに驚いたものの安全な場所まで引き摺ってから食べ始めた。よほど魅力的な獲物だったのだろう。


Terminal Legs コメント

野外での捕食例です。捕食がテーマですが、その前の危険回避や獲物の運搬など

行動についての補足も丁寧で、状況が強く想起されました。

ムカデに関しては捕食の際、落ち着く場所を探すことが多く観察していると面白いです。

-BITTZU


銅賞


『トドメの接吻』 2019年9月2日 UNLOVED店内にて スマトラ島産アジアンフォレスト

Heterometrus sp."Sumatra"

スマトラ島から輸入されてきたアジアンフォレストスコーピオン。H.petersiiに見えるがスマトラ島はロングクロー(H.longimanus)くらいしかいないから真相は不明

サソリは交接(いわゆる交尾に近い)する際キスをしながらダンスを踊ります。なんとも美しい繁殖方法ですね

-JOHNSON


Terminal Legs コメント

コンテスト中でも少なかった交接の様子です。

サソリは交接の際にダンスをすることで知られていますが、

ここまではっきりと撮影されている機会は少ないと思います。

『紅連』2019年4月 台湾 オオゲジの一種

樹上で虫類を捕食している

台湾で撮影した赤い脚のオオゲジの仲間。国内では見れないその美しい色にしばらく見とれていた。

-のぶ


Terminal Legs コメント

野外観察での捕食シーンはいつみても良いものですね。

国内では見ることが出来ないシーンで非常に心躍ります。

前回に続き素晴らしい写真を投稿いただきました!


『芋葉傘』 2019年7月14日 西表島 オオムカデ Scolopendra subspinipes

八重山に生息する旧トビズムカデ。湿り気のある夜に林道や山林内でよく見かけました。

小雨がパラつく林道内にて、クワズイモの葉の下で食事中のムカデを撮影しました。ムカデの質感とクワズイモの葉の質感を両立させる為、ライティングに苦心したのが記憶に新しいです。

-まさ


Terminal Legs コメント

細い茎に登攀した上で捕食という、多足類の要素を詰め込んだような作品です。

葉の裏というのは表現が難しいのですが、ムカデと共に美しく撮影されています。

他の投稿を拝見したところ、広角で撮られていることが多いようですので

次回、環境写真でも作品を見せていただきたいなと思いました。


佳作

『かわいい顔して』 2020年4月19日 日本 デーニッツハエトリ Plexippoides doenitzi

野外で普通に見られる種です。歩きまわって獲物を探しています。個人的にはジャンプ力があるなと思っています。

何気なく獲物を抱えている姿を撮りましたが、その獲物が同じクモだったのは驚きました。

-コベニタケ


Terminal Legs コメント

タイトルの通り、かわいい顔で同じクモを捕食しているのには驚きです。

ハエトリグモといえばクモの中でも眼と呼吸器官が進化していることで知られていますが

それがジャンプ力や今回の捕食に繋がっているのでしょう。

かたつむりフォークリフト 2017年6月3日 奄美大島 アマミサソリモドキ Typopeltis stimpsonii

野外で初めて会ったTHE奇蟲

なぜかカタツムリを持ってた 食性に秘密があったりして?撮影技術が残念

-うなぎ


Terminal Legs コメント

カタツムリまで捕食してしまうのですね。サソリモドキは通常のサソリよりも

立体物の運搬を器用にこなす事も多いのですが、その様子が写されています。

惜しくも撮影日がレギュレーションから外れているため佳作といたしました。

触角がひとふし増えた日 2019年7月28日 神奈川県 ナミコムカデ Hanseniella sp.

コムカデは脱皮の度に触角の節が増える生き物です。自然環境下では触角が切れた個体や触角が短い個体がよく見られます。コムカデにとって触角は消耗品なのかもしれません。

脱皮してすぐと思われる写真です。作品名は脱皮を触角に関連付けて表現したもの。脱皮行動の終結を収めた一枚です。

-xjoo92


Terminal Legs コメント

なんともかわいらしい写真です。

脱皮殻も写し込まれており、成長の過程がわかる興味深い写真です。



素晴らしい作品の数々をありがとうございました。

ここでは紹介しきれない作品も多数ございましたので、良ければTwitterでご確認下さい。

金賞は1万円又は1万5,000円の商品券をプレゼント。

次回は環境写真部門の募集を致します。

今後とも素晴らしい作品をお待ちしております。




0コメント

  • 1000 / 1000