ムカデの構造
ここではオオムカデの中からScolopendra dehaani
ベトナムオオムカデを参考に体のつくりを見ていきましょう。
ムカデといえば多数の足、毒がある…などの特徴がありますが
まずは最大の武器「顎肢(がくし)」から。
我々が普段「毒牙」や、ムカデに「咬まれた」と表現している部分ですが
これは「顎肢」と呼ばれる、足が変化して出来たものです。
よくみると頭部ではなく「胴節」から伸びている様子がわかります。
Terminal Legsでは便宜上、毒牙と表現することも多いですが、実は「顎肢」と名前がついております。
また、ムカデの最も後ろにある長い足の事を「曳航肢(えいこうし)」と呼びます。
英語圏ではターミナルレッグと呼ばれており、
私共も特別な思い入れのある部分でございます。
「歩肢」の起点とも言えるのが「胴節」です。ここには「気門」などがあります。
気門によってムカデは呼吸を行っています。
さて「顎肢」は牙でなく足でしたが、実際の口はどこにあるのでしょうか。
Scolopendra piceoflava の口器を見ていきます。
ムカデは小顎、歯板を用いて食事を行います。
小顎の下には大顎がありこちらは普段は見えないようです。
(ここでは口器も肢から進化したという議論は置いておきます)
顎肢で獲物を仕留め、その後、本当の口を用いて食事する、というのが彼らのスタイルです。
幼体も成体と同様に顎肢を用いて狩りを行います。
親離れした直後から捕食者として洗練されており、スピードも気を抜けば一瞬で見失うほどです。
またこのサイズでも成人男性に対してもしっかり毒が入るため十分な注意が必要です。
複数の獲物を捕らえることも可能で、小さい相手ならば曳航肢で挟んだり
歩肢で包み込み、まるで牢獄の様に獲物を捕らえてしまいます。
またScolopendra属の場合、美しい4対の単眼を持っており、これにより明るさを感知しているようです。
Scolopendra mutilans
他にも細かな名称はございますが、
飼育者同士の会話では、このあたりをよく使うことになると思われます。
サイズについて話す場合にはどうすればよいのでしょうか。
一般的に使うのは「全長」と「頭胴長」かと思われます。
触角や曳航肢を含めた全長を用いると誤差が大きいため、
ムカデの場合は頭胴長を用いることも多いですね。
この頭胴長も節の伸び縮みのせいで誤差が大きいのですが、目安としては使えます。
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